デザイナーの“異文化間スキル”って何だろう?

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昨年(2017年)、米国グラフィック・デザイン協会とGoogleは、9,500人以上のデザイナーを対象に大規模なアンケートを実施しました。

Design Census 2017

この調査結果のひとつ「将来のために最も貴重なデザインスキル」という10項目の中に、“異文化間スキル” という言葉がありました。

この言葉、とても気になります。デザイナーにとって価値のある “異文化間スキル” とは具体的にどのようなスキルなのでしょう。日本語ではデザイナーが見てすぐにわかるような説明は見つけられませんでしたが、英語で検索してみるといくつか参考になりそうなものがありました。

 

異文化を理解し、文化の境界を横断する力

Cross-cultural Design

異文化間のデザインは、デザイン(→)製品、デザイナー、デザイン制作者が文化の境界を横断する能力を示します。 

Tai E. (2008) Cross-cultural Design. In: Erlhoff M., Marshall T. (eds) Design Dictionary. Board of International Research in Design. Birkhäuser Basel

また、以下はオランダの会社が公開しているBoost Your Cross-cultural skills!』という資料から一部抜粋して翻訳したものです。デザインに限定されていませんが、異文化への能力について具体的な項目が掲載されています。

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UI・UXにおける実際の事例

Webサイトにおける異文化間のデザインについて、いくつかおもしろい記事を見つけました。どちらもUIやUXの視点から、実際にデザイナーが感じたこと、体験したことについて書かれています。

例えば、日本では感情的な関わりのために可愛いらしいマスコットキャラクターをよく使用するが、他国のユーザーはこちらが想定したイメージを持つとは限らないこと。日本のWebサイトは明るく鮮やかな色をたくさん使用する傾向があるが、外国人ユーザーはカラフルなデザインに圧倒されるかもしれない。など、興味深いです。この記事を読むと、デザイナーが文化の壁を超えるのは全く簡単ではないのだとよくわかります。

海外からたくさんの人を迎え入れるために

2020年には東京オリンピックがはじまります。上記の記事のように、異文化間を横断するプロフェッショナルとしてのデザイナーは日本ではまだ少ないのかもしれません。でもどんなデザイナーでも、世界の人々に向けたデザインをする機会はこれからどんどん増えていくはずです。

実際に色々な国の人に聞きながらデザインを進められれば理想的ですが、それができる環境作りがまず難しそうですね。ただ、調査やヒアリングといったこと以前に、異文化をもっと知ることなら私にもできそうです。

そこで、自分自身も含めデザイナーやクリエイターが知っておくと良いかもしれない “異文化” について、これから少しずつ研究していこうと思っています。

 

ー その後 ー 

世界の国旗を解説する、ブログとTwitterをはじめました。

《近況 - 2019.09.04》

この記事を書いてから、 デザイナーとして異文化間スキルを伸ばそうという取り組みは、世界の国旗を研究し学んだことを、デザインの視点で解説するという活動に変わりました。

www.world-national-flags.com

最初ははてなブログから始めて、その後CMSを使って国旗に特化したミニサイトを作り、さらにもう一度ブログとしてリニューアルし今にいたります。

『世界の国旗』ブログでは、国旗のデザインについて体系的に解説していて、Twitterでは世界の国旗や各国の歴史を紹介しています。

この記事を書いてから1年と少し。その時は思ってもいなかったような活動をしていることに驚いていますが、今後も「文化の壁を超えるデザイン」を考え、自分なりに取り組んでいこうと思っています。

ブログ・Twitterともに、とてもマイペースな更新となっていますが、興味を持たれた方は是非ご覧になってみてください。

twitter.com

 

世界の中で「異文化間のデザイン」の分野が、今後どうなっていくのかも気になるところです。1年の間にどのようになっているのか、また時間があるときに調査してまとめます。